リベラルアーツ・カフェ Vol.66 「食嗜好性の心理メカニズム」を開催しました(報告)
多彩な領域の知的刺激と異分野交流をカフェスタイルで楽しむ「リベラルアーツ・カフェ」。今回は真柄建設さんの会議室をお借りして、「食嗜好性の心理メカニズム」をテーマに東京大学大学院・農学生命科学研究科教授の喜田聡さんに講演をして頂きました。
日 時:2025年3月17日(月) 19:00
場 所:真柄建設株式会社 会議室
参加者:20名(会員17名、一般3名)
喜田さんは、破壊的イノベーション創出を目指した内閣府による研究プログラム「ムーンショット」の10目標のうちのひとつでプログラム・マネージャーを務めています。モデレーターには、喜田さんの幼なじみでもある金沢大学医薬保健研究域・医学系脳神経医学分野教授の河崎洋志さんにお願いしました。
喜田さんは、衝動食いや過食症など、不健康と知りつつも食習慣を変えられない状態を改善するためにさまざまな研究や実験を行い、食べるという行動の意思決定をする認知制御の解明を目指しているそうです。
「食の嗜好性は心に関わるもの」で、先天的な食嗜好性も自らの経験や他者からの情報、文化的環境などによって後天的に変化するという説明があり、その中で「マズローの欲求階層」に基づいた心理学的な嗜好性の説明がありました。好き嫌いという先天的本能 → 知らない食物を避けようとする安心欲求 → 皆と同じものを食べたいと思う所属欲求 → 皆が食べれないものを食べたいと思う承認欲求 → 自分が食べたいものを食べるんだという自己実現、の階層があるそうです。
また、空腹でも同じものは続けて食べたいと思わない「感性的満腹感」や、他人が食べていると満腹でも食べたくなる「感性的空腹感」がおきる脳の仕組みの話があり、参加者の関心を集めていました。