About

趣都金澤とは

世界趣都 金沢2030 実現への12のメソッド

世界趣都 金沢2030
実現への12のメソッド

2019年5月、「趣都フォーラム」で発表した、2030年の金沢の将来像と、目標を実現するために必要な方法をまとめた提言です。

>> PDF版がダウンロードできます

金沢が目指すべき都市像とはどのようなものでしょうか。
人口や経済活動は決して大きくなくとも、
日本、さらにアジアの中で、新しい社会モデルの構築に先行し、
実験的だが安定した、バランスのとれた豊かさにあふれるまち。
世界の都市像をリードし、尊敬されるまち。
それが、「趣都金澤」が考える「世界趣都 金沢」の姿です。

  • 文化の質を
    高める機会を増やす

    文化の質を高める機会を増やす

    金沢の意味を更新する
    「学びの場」を作る

    金沢の意味を更新する「学びの場」を作る

    あらゆる世代の市民に、広く金沢の文化が浸透していくように、文化とその背景を理解するための「学びの場」をつくることが必要です。
    文化や知識を活かし、見極めるための哲学を学ぶことが必要であり、そのためには学校のような特定の場で学ぶ知識だけでなく、さまざまな人が、いろいろな場所に、自発的に集い、文化の学びの場を創発していくような土壌をつくるべきなのです。

    これまでの主催・共催事業 ● 金沢みらい工芸部 ● 金沢みらい茶会 世界趣都 実現へのアイデア ● 加賀前田藩塾 ● 金沢版デザインスクール ● リベラルアーツ(教養教育)塾 ● 関係づくりのローカル・スクール

    「金澤尺度」を醸成する

    加賀藩・前田家が京都や江戸から工芸職人や工人を招聘し、文化が興隆したように、金沢には外部からの技術を受け入れてきた土壌があります。また、「金沢美術工芸大学」の存在は、市民にとって金沢独自の美術・アートに対する寛容性を育んできました。
    こうした金沢らしい寛容性を再認識し、文化芸術の自立性を尊重・担保しながら質の高いものを育てていく「金澤尺度」を醸成することが必要です。その形成には「まちづくりのためのアート」ではなく、「まちを活用してアートを育てる」という逆転した視点が求められます。

    世界趣都 実現へのアイデア ● アーツカウンシル(文化のための独立機関)の設置
    ● アーツカウンシルとDMO(観光のための組織)との連携・一体化

    文化の循環のための
    「経済的仕組み」をつくる

    文化が消費されることで経済的な循環が生まれますが、一方で過度な消費によって文化が消耗していく恐れもあります。ここでいう「文化」は、「芸術文化」だけでなく「生活文化」も意味します。
    文化の創造を担う「作品のつくり手」の暮らしを持続的に支えるには、作品が売れることも大切ですが、作品が質の高い場で評価される機会を提供することも必要です。日々の生活の中で文化を高めていくことにつながるような「文化の循環」の仕組みをつくることが重要です。

    世界趣都 実現へのアイデア ● 文化ファンドの構築 ● 交流と発表のための文化サロン

  • 「文化経済都市」として
    世界とつながる

    「文化経済都市」として世界とつながる

    文化資源を「国際的につなぐ仕組み」をつくる

    地方都市の国際戦略として、東京に対する周辺部というポジションではなく、直接世界とつながるような、小さくとも何らかの分野の国際的な中心地を目指す方法があります。金沢では、まず「工芸」領域の世界的中心地を目指すことが考えられます。
    そのためには、金沢独自の工芸などの文化的資源に対する評価軸を培い、価値を発信することが求められます。世界に通用する個性的なマーケットの創出は、創造都市としての機能強化になります。

    これまでの主催・共催事業 ● KOGEI Art Fair Kanazawa 世界趣都 実現へのアイデア ● 世界規模の工芸見本市 ● 工芸の研究所/修復工房 ● 開放系の文化拠点の形成 ● フューチャー・コレクターの教育 ● KOGEI Art Fair Kanazawaの発展形 ● 世界工芸シンポジウム

    異分野コラボレーションを促進する

    異質なものが組み合わさることは、創造性の源泉です。コラボレーションのコーディネート人材を育成し、意外な組み合わせを促進することで、創造的な試みを生み出すことができます。異文化/異分野の「人」単位でのつながりは、創造的な試みを生み出します。
    例えば、食・音楽・工芸がコラボレーションする「趣膳食彩」、工芸作家と建築家がコラボレーションする「工芸建築」展のように、分野を超えて企画していくべきです。そのためには、金沢における人材の可視化を行い、互いに学び、助け合う場所としての「コモンズ(入会地)」をつくることが、創造的なまちづくりにとって必要です。

    これまでの主催・共催事業 ● 「工芸建築」展 ● 21世紀鷹峯フォーラム 第3回 石川・金沢 ● 趣膳食彩

  • 趣ある
    都市空間をつくる

    趣ある都市空間をつくる

    「都市内自然」と「静謐」な場を文化として守

    まちは賑わいだけで形成されているのではなく、空間消費が過剰になる現代では、むしろ意識的に時々はまちを休ませる必要があります。例えば、夜のまちを楽しむということは、不夜城をつくることとイコールではありません。賑やかな場所は楽しみつつも、まちの中の静かな場所では、三味線の音や、用水の水音がどこからか聞こえてくるような、自然な静けさも大切にしなくてはいけません。これが、金沢における都市の成熟であり、「静謐」な場と時間を守るということです。

    これまでの主催・共催事業 ● 金澤さんぽ ● 早朝の兼六園曲水音観賞ツアー ● プラモリ川 世界趣都 実現へのアイデア ● 環境音のマッピング ● 観光と日常の間コンシェルジュ ● 滞在時間を伸ばすためのオープンスペース ● 静けさを活かしたナイトカルチャーの育成 ● 夜間・早朝の河川空間活用

    「秩序ある都市空間」をデザインする

    金沢市は景観行政のパイオニアとして、まち並み保全や用水空間の整備、電線の地中化など、地形・歴史・文化的成り立ちから考えて「理にかなった」秩序ある空間デザインを行ってきたことで有名です。これまで蓄積してきた空間資産を大切にしながら、新たに開発・デザインされる建物にも、金沢らしい筋が通った「秩序」を求めていく必要があります。「秩序ある空間デザイン」は、金沢における都市文化の一つであり、住民の誇りを形成し、多くの訪問者を惹きつける貴重な財産であることを再認識するべきです。

    世界趣都 実現へのアイデア ● 「緑と水をつなぐ」金沢らしさの保全 ● 金沢らしい「空間尺度」の共有 ● デザイン調整期間の設置

  • 創造的な
    コミュニティを育む

    創造的なコミュニティを育む

    次世代の「まちづくりの担い手」を育てる

    民間の多様な主体が地域性を考慮して独自のまちづくり事業を提案・実施するケースが増えてきました。こうした「社会的な」民間事業の活力を活かし、今後のまちづくりのあり方を考えていかねばなりません。「まちづくりの担い手」は独立した判断能力を持つ主体として認識される必要があり、NPO自体も新たな力を取り入れて発展するべきです。持続可能であるためには、「これをやりたい!」という想いを実現できる場を設定し、次世代も参加しやすくなるような支援が必要です。

    世界趣都 実現へのアイデア ● まちのニュー・メディアづくり ● まちづくりのユースチーム ● 「文化工学まちづくり」を議論するアーバン・ラボの形成

    地域と共に「まちづくりフィールド」をつくる

    町会や校下といった地域型コミュニティは、金沢の文化の一つです。まちをよりよくするためには、伝統ある地域型コミュニティと、まちづくりNPOなどのテーマ型コミュニティの協働が必要です。そこでは対話と対等な関係性が重要で、まちづくりNPOは外部視点による気づきの提供、地域人材発掘の仕掛けづくり、やる気のある人の支援など、地域コミュニティの受け皿としての役割も求められます。

    これまでの主催・共催事業 ● 金澤宮遊 世界趣都 実現へのアイデア ● まちづくりの地域コンペ ● 身近な公共空間の利活用

    「立場を尊重した」産官学民連携を推進する

    産官学民連携では、それぞれの能力や役割を持ち寄り、協働を通して創造的な試みを進めることができます。立場によって異なる規範や論理をすりあわせ、お互いによい試みとなるように進めることと、文化・価値・立場・能力を尊重して地域協働をコーディネートすることが大切です。

    これまでの主催・共催事業 ● 金澤月見光路 世界趣都 実現へのアイデア ● 大学の教育プログラムとの連携 ● 民間による「まち空間」占有利活用 ● 学術的議論のための小さなスペースの点在

  • 戦略的に
    地域が連携する

    戦略的に地域が連携する

    民間ベースの「北陸都市間の連携」を促進する

    金沢が固有の文化を守りつつ、都市の連携により地域の存在を高めるには、各都市のはっきりした個性を尊重した北陸都市間の連携が必要です。金沢と富山では、加賀藩・前田家が産業の性質が重ならないように各都市に分散させた歴史があります。このように、地域連携の中で都市の個性をより光らせるには、歴史から見た北陸のあり方・つながり方を考えるべきです。自治体間の連携に加えて、NPO間など民間ベースで連携することによって、特定のテーマに基づく複合的な連携が可能になります。

    これまでの主催・共催事業 ● ツールド日本海ママチャリラリー 世界趣都 実現へのアイデア ● 北陸まちづくりサミット ● スポーツ連携 ● 広域をつなぐ文化組織

    国内外の地域との「根拠ある連携」を進める

    かつて日本海側は北前船が寄港する港でつながり、交流を通してさまざまな文化を育み、創造してきました。そのような歴史的なつながりは、地域連携の根拠となります。つながりに意味を持たせ、価値のある連携とするには、地域連携の根拠・コンセプトを明確にする必要があります。近隣市町村との連携であれば、河川の流域圏などの地理的要素をコンセプトと捉えたり、遠方であっても、日本海側の文化的で起業家精神の豊かな都市というコンセプトでの連携も考えられるでしょう。

    これまでの主催・共催事業 ● 金沢みなとの文化祭 世界趣都 実現へのアイデア ● 文化まちづくりフォーラム ● 地域を超えたテーマ型「超・広域」観光接続ルート