2024年度「総会」「趣都フォーラム」が開催されました(報告)

2024年度の「総会」と「趣都フォーラム」が6月1日、百万石まつりの賑わいの中、金沢市文化ホールの大会議室で開催されました。

■2024年度 総会
総会は議長に宇田直人さんが選任され、下記議案が浦理事長と事務局によって説明。無事に了承されました。
・2023年度 事業報告と決算報告
・2024年度 事業計画と収支予算

■趣都フォーラム2024

 今年の趣都フォーラムは能登半島地震からの復興をテーマに、金沢が能登各地域のつながりを深めていくハブのような役割を持てないだろうかという趣旨で企画され、「能登をつないでいく」と題して開催されました。
 浦理事長の挨拶と佐無田光さんの趣旨説明に続いて、内田奈芳美さんの進行によって能登の各地域で活動する4人が登壇。課題と今後のビジョンを参加者と共有しました。

<プレゼンテーション>

 登壇した杉野智行さんは、震災後に石川県庁を退職して輪島市門前町黒島地区に移住。「株式会社湊」を設立してゲストハウスを経営する傍らで同地区復興のボランティア活動を推進しているそうです。これからの能登には人と人のつながりが最も重要とした上で、地域のコミュニティーをつくるためには「まずは自ら実行すること、次に広く共感を集めるために活動の看板を掲げること、活動支援してくれた人に感謝することが大切」と話されました。

 多田健太郎さんは七尾市和倉温泉の老舗旅館「多田屋」の社長。同地区の旅館のほとんどが営業を再開できていない中で、多田さんは「和倉温泉創造的復興ビジョン策定会」の委員長を務め、発足からわずか3週間で策定して知事に陳情しました。今までは旅館の中に閉じたビジネスが多かったが、今後は外へ開いて客が地域内の店や観光資源を「めぐる」ようにするなどの方針を盛り込んだそうです。「ビジョンは地元の夢や強い思いがあったからこそ作れた。金沢など外部交流が増えている今こそ和倉温泉の魅力を再発見してもらい復興に取り込みたい」と話されました。

 「輪島キリモト」代表の桐本泰一さんは、建築家の坂茂さんの協力で敷地内に紙管を使った建物を建てて輪島塗の仮設工房として使っているそうです。わずか2日で簡単に建てられた経験から、補助金の申請方法などの情報と合わせて関係者とノウハウを共有していくそうです。また公費で30棟もの仮設工房が建てられるという計画に合わせて、施設のビジュアル・アイデンティティーも構想しているそうです。「輪島塗は廃業や職人の転出などで縮小してしまうだろうが、やる気のある人と濃い人が残るので、これを機に密度の濃い町にしていきたい」と話されました。

 輪島市門前町で「櫛比の庄禅の里交流館」を運営する宮下杏里さんは復興ボランティアの活動や地域商店街の再生に取り組んでいます。2007(平成19)年の地震からようやく復興したばかりなのにという悲観的な声が多い中、宮下さんは「住む人たちがまず楽しいと思えるまちづくりをしないと観光客も来ないだろう。商店街では中断していた門前マルシェを復活させる計画や仮設商店街が完成する機会を使って笑顔を取り戻したい」と話されました。

  杉野智行さん
多田健太郎さん
桐本泰一さん
宮下杏里さん

<パネルディスカッション>

 続いて行われたパネルディスカッションでは、門前の総持寺に修行に来たお坊さんが、使っていた器を地元に持って帰ることで輪島塗が全国に広まった話などから「土地のつながり、歴史のつながり、人のつながりに復興のヒントがあるのでは」という意見が出されました。

<グループトーク>

 最後に、登壇した4人がそれぞれのテーマを持ってにテーブルに分かれ、参加者が関心に応じて加わったグループトークが行われ、情報共有やディスカッションが行われました。

 総会から終了まで5時間を超える長丁場でしたが、多くの情報を共有でき、各自が金沢で能登の復興に何ができるかを考える機会となりました。

 終了後は2会場(あぐり/イオマレ)に分かれて懇親会が行われました。参加された方はお疲れさまでした。