リベラルアーツ・カフェで能登復興の取組みを共有しました(報告)

リベラルアーツ・カフェ Vol.65「能登復興への取組み ~趣都金澤メンバーによる報告~」を12月20日、しいのき迎賓館で行いました。

今回は「能登復興への取組み」をテーマに、趣都金澤メンバー各自が行っている能登の取組みについての共有や、連携・相乗効果の醸成を図るためのディスカッションを行いました。

浦淳さん(株式会社浦建築研究所 代表取締役)
「能登復興建築人会議の活動で、住宅相談会を現地で40回以上行っている。その中で古く価値のある家が公費解体されてしまう事例が多く見られ、費用的、環境的、景観的に課題があると思い、行政やNPOなどと『のとボイス』を立ち上げ、この課題に取り組むことにした。建物だけではなく、なりわいなどを含めて能登らしい復興のかたちを考える必要性があると考えている。」

浦淳さん

吉村寿博さん(吉村寿博建築設計事務所 代表)
「輪島市黒島の家を所有していることから、現地の復興に向けた『黒島みらい会議』に参加している。重伝建の再建も含まれるので行政などと連携して進めている。個別に現地調査をして、複雑な支援制度を説明し住民の相談に応じる活動や、状況によってはボランティアの大工の協力で修理してもらったりしている。復興に向け、黒島らしさとは何かを議論しはじめている。」

吉村寿博さん

小津誠一さん(株式会社ENN 代表)
「珠洲市真浦の40人の集落で『現代集落』の活動を2023年から行い、30年後のビジョンを描き、住民と具体化しようとする矢先の震災。真浦は戦後しばらく道路も無かったが70年代にトンネルや道路が整備されると棚田も減り、今ではほぼ無くなり耕作放棄地になった。地震でトンネルや道路が損壊し、水も電気も無い完全に孤立した集落になったが、復興に向けて考えをまとめて珠洲市に陳情した。『災間』であることを前提に、普段から何をすべきか考えなければならない時代になった。」

小津誠一さん

安江雪菜さん(株式会社計画情報研究所 代表取締役)
「震災直後から物資支援などを行っていたが、一般社団法人NOTOTOを立ち上げて、地域住民の交流と対話の場づくり、復興の担い手に伴走する事業、情報発信して現状を伝えるという3つの柱で活動をしている。GIAHS認定地域でもある能登の里山里海の暮らしは、様々なものが複雑につながっているので『能登ならではの復興モデル』が必要だと考えている。」

安江雪菜さん

質疑応答では、震災で田畑、山林、漁港など、里山里海の被害が大きく、生業にも影響があるが、かといって豪雨被害のあった河川の復旧でコンクリート護岸などを作ってしまうと、大切なものが失われてしまうというという意見や、若い世代と高齢世代で住民の意見が違い、合意形成が難しいなどの意見が出されました。

質疑応答とディスカッションをする登壇のみなさん