「のとボイス」第3回を金沢21世紀美術館で開催しました(報告)

能登復興会議「のとボイス」第3回
テーマ:復興の次の一手を考える

日時:2025 年 7月27(日) 13:30 ~ 19:00
場所:金沢21世紀美術館シアター21
主催:のとボイス連絡協議会
(能登復興建築人会議/認定NPO 法人 趣都金澤/みやぎボイス連絡協議会)
共催:公益社団法人 日本建築家協会北陸支部
後援:金沢弁護士会

能登復興会議「のとボイス」第3回は、まちづくりや復興の関係者約20人が登壇し、会場には約90人、オンラインで約20人が参加しました。

司会進行:内田奈芳美さん(埼玉大学/趣都金澤理事)
開会のあいさつ:水野一郎さん(金沢工業大学/能登復興建築人会議会長)

■テーブル1「計画から実現へ、次のステップへつなげる」

テーブル1の様子
浅野大介さん(石川県副知事)
姥浦道生さん(東北大学/輪島市復興まちづくり計画検討委員長)

ファシリテーター:手島浩之さん(みやぎボイス連絡協議会)
参加者
・浅野大介さん(石川県副知事)
・姥浦道生さん(東北大学/輪島市復興まちづくり計画検討委員長)
・中村文彦さん(東京大学)
・野崎隆一さん(神戸まちづくり研究所)
・安江雪菜さん(計画情報研究所/趣都金澤理事)

 姥浦さんは「人口が減少する中で街の魅力をいかに最大化するかが課題。解体などが進むと街がスカスカになるので、インフィル型の公営住宅やランドバンクのような土地の流動化が必要になる。家も同様で、空き家バンクなど既存ストックの活用方法の検討が必要」と話しました。
 まちづくりの支援をする安江さんは、復旧・復興に関わる女性たちが直面するジェンダー問題を指摘。女性をエンパワーメントするしくみや、新しいことへのチャレンジを支援しているといいます。住民と行政の間で生じる「もやもや」について触れると、浅野大介副知事は、現場の人たちの「魂がこもった声」が行政の施策や文書に現れていないことを挙げて、住民との対話の重要性を訴えました。

■テーブル2「地域経済の循環、関係人口をむすびつける」

テーブル2の様子
山本亮さん
並木将仁さん(KEARNEY)

ファシリテーター:佐無田光さん(金沢大学/趣都金澤理事)
参加者
・豊島祐樹さん(金沢大学/趣都金澤理事)
・並木将仁さん(KEARNEY)
・林俊伍さん(こみんぐる/現代集落)
・山本亮さん(のと復耕ラボ)

 地域を一つのホテルを見立てて里山の暮らしを体験できる「里山まるごとホテル」(輪島市三井町)を運営していた山本さんは、まだ震災復旧ができていないそうです。それでも同地区にはのべ4000人を超えるボランティアに来てもらい、その中から移住者2人、他拠点生活者6人などの関係人口ができたと話し、地域に住まない人に地域社会への参加をどう促すかをデザインす重要性を訴えました。
 また佐無田さんによると、製造業を中心に企業が少なくなってしまった能登では多就業が多いそうです。そのことから移動者やリモートワーカーに対するサービスビジネスに期待できるのでは、などの意見が出ました。

■テーブル3「建物をどう残せるか、その具体的な方法論」

テーブル3の様子
菊池雅彦さん(埼玉大学)
三谷浩二郎さん(石川県土木部次長)

ファシリテーター:竹内申一さん(金沢工業大学/能登復興建築人会議)
参加者
・岡佑亮さん(チドリスタジオ/建築プロンティアネット)
・菊池雅彦さん(埼玉大学)
・桐明祐治さん(NOTOTO)
・三谷浩二郎さん(石川県土木部次長)
・由田徹さん(ユウプラス/能登復興建築人会議)
・池田暉直さん(東北大学)※オンライン参加で能登の被災家屋調査報告

 菊池さんは、「建物をどう残して活用するかを考える上で『自分で居住する』という人には生活再建のサポートが、『誰かが利活用する』という既存ストックの利用者には中間支援団体のサポートが必要。両者はつながっていくので長期的な地域づくりとしての施策も必要」と話されました。
 三谷さんは県で「いしかわ型復興住宅モデルプラン集」を制作し、新築だけではなく耐震補強や修繕に関する情報も載せたと紹介。これからつくる災害公営住宅についても、将来の利活用を踏まえてどう作っておくかが重要と訴えました。